3日間の文化祭は、朝の開店(?)からもう人が並んでいて、終わりの時間の4時までびっしりと占っていました。昼に友人が差し入れてくれたパンを急いで飲み込むのがやっと、という大盛況ぶりでした。友人たちの目論見は見事に当たったわけで「女の子に人気のある出し物」にはなったのですが、残念ながらそれ以上のことはなく、カードを手に入れた私だけが得をした感じで終わりました。考えてみれば当たり前の話で、ほとんどが片思いの恋愛相談なのですから。ともあれ無事に(私だけが?)慌ただしかった文化祭は終わり、大陸書房版のタロットはそのまま私がプレゼントされることになりました。
さて、この次から次へと占っていくという初めての経験は私にその後につながる大きなものを与えてくれました。次々と入れ代わる人を相手に立て続けでみて行く中で、それまでは必死に意味を思い出しながら見ていたのですが、10人くらいをすぎてから、カードを見た瞬間にいうべき言葉が勝手に口をついて出てくることが何度も起こり始めました。今ならカードの意味を暗記するよりもカードの語る意味を大切にした方が良い (本来の意味は踏まえるのが大前提ですが)のは当然のこととして自覚していますが、当時の私にとってこれは新鮮な驚きでした。そして、結構な緊張状態の中、休むひまなく3日間タロットを開き続けるという体験は私におそらく最短でこの大事なことを教えてくれたのだと思います。
タロットカードを手にした手のときは私もそうでしたが意味を必死に覚えて、その意味に忠実に読んでいく、となりがちです。もちろん最初はそれで良いと思いますが、できれば早めに次の段階にうつりたいものです。私の場合前述のように立て続けに何人もの人を休みなく連続して占っていた解きにこのブレイクスルーはきました。こうした強制的な方法もありますが、大切なのは意味をいちいち思い出している余裕がない、という状態担っていたことがポイントになっていた気がします。とはいえ、普通そういう状況というのはないものなので、一般的には(カードの基本的な意味は抑えてある前提で)カードを眺めてそこからインスピレーションを得るという事を意識して訓練するのが現実的だと思います。実際今まで多くの人にタロットをお教えしてきましたが、この意味からインスピレーションへのブレイクスルーは意識した訓練が効果的だと経験的に断言できます。
閑話休題。
以上のような流れでモノクロタロットからカラーのタロットへとタロットとの付き合いが本格的に始まったのですが、その後木星王氏にも直接何度もお会いすることになったり、会社を経営しつつタロット占い師になったり、タロットのコレクションが膨大になったりなどという人生が待っていることはその時全く想像もつかないことでした。(橘青洲)