私のタロット遍歴(4)

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件の文化祭以降、タロットカードには毎日触れていたものの、ときたま友人に頼まれるくらいで人を占う機会がなくなり、どうしたものかと考え込みました。当時はそんなに本も出ていたわけでなく、独り占いにも限界がありすぐネタがつきてしまうし「タロット入門と占い」の書籍に出ている以上のことを書いてある本はさらにないしで、ある種の欲求不満状態に陥っていました。

そこで私がとった方法は「翌日には自分で確認できるものを夜寝る前に占う」というものでした。この方法だと、自分の占いがどのくらいの精度なのかを簡単に確認できますし、外れたときにも「どうして外れたか?」「解釈をどう間違えたのか?」を検討して、次の読みに活かすことができます。

この訓練をしていて気がついたのは、当たり前といえば当たり前なのですが「カードはちゃんと当たっている」ということでした。つまり「はずれた」と思っても、前日のカードをよく見ると、私の解釈が間違っていてカードはきちんと出ている、ということが分かってきたのです。これを自覚するようになってから、一通りの読みで納得せず、色々な解釈の可能性を読み取る練習をするようになりました。このように数年間は特に誰かを占うことなく、ひたすら練習ばかりしていました。

やがて、学生ながら原稿料を貰うような状況になり、自分で使える資金に余裕が少しは出来てきたので毎月1つか2つというペースで輸入品のタロットを買うようになってきました。結局その延長で今数多くのカードが私の手元にあるわけですが、1990年代半ばくらいまでは輸入品のカードを買うこと自体が大変でした。海外に郵便で問い合わせをして、カタログを送ってもらい、それをもとに中身の確認もできないまま発注。不安のまま2か月くらい船便を待ってようやく、というのが順調に行ったときの話。時には半年以上かかるなどということも少なくなくありました。そう考えると今のアマゾンなどで簡単に買える時代の到来などは想像もつかないことでしたし、ネット検索で事前にどんなカードか知る事ができる等という便利な時代が来るとは夢にも思いませんでした。だから1998年にAmazon(米国)のサイトに初めてアクセスした時はびっくりするやら、感動するやら、ともかく非常に興奮したことを憶えています。この時ほど「英語を勉強していてよかった」と思ったことはありませんでした。そしてクリックするだけで、しかも1週間以内に手元に届いた時には文字通り時代が変わったことを実感しました。

閑話休題。話を元に戻します。学生でも色々と自分のペースで稼げるということを知った私は文筆業だけではあまり安定しなかったので、有名人のゴーストライターなどをしていたりもしたのですが、これはこれでなかなかタイトなスケジュールに縛られ(具体的には3日で1冊とか)、試行錯誤をしまくっていました。そうしたある時、予備校時代の先輩(同じ先生に習っていた人)が占い師をしていることを知り、話を聞いているうちに「君、うちで少しやってみる?好きなときにくるんでいいよ」と言ってもらいました。そこで私は「ぜひ!」と即答。こうしていきなり商業的な占い師デビューが決まりました。(橘青洲)

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