私は占いというのは当たって当たり前、問題は悪い結果が出たときにそれをどう外すかという具体的な方法を出せなければ話にならないと考えています。例えば「明日△時にあなたはトラックにはねられます」という結果が出て、実際に翌日トラックに轢かれながら「当たった~」となっては質の悪い駄洒落にもなりません。悪い結果が出たときは、どう対処すればそうならないかを具体的に読めなければいけないのです。
それに関連してよく人にお話するのが「占いは転ばぬ先の杖」ということです。占いというと大抵の人が「困ったとき」にいらっしゃいます。もちろんそれはそれで当然ですし、占いはそういう目的に使われるべきでもあります。しかし、問題が解決したあとにも、せっかくなら1カ月に1回くらいのペースで「自分の状況」を占ってもらうのも良い方法だと信じています。そうすることで問題が起こる前に手を打つことができるからです。
この2点を私は占いのクライアントにはよくお話しします。占いは怖いという人も時々いて、そうした人には特に「対策を読み切る」ことの大切さをお話ししています。特によそで占い鑑定を受けて「悪い結果を告げられて終わってしまった」というような方には「それは中途半端な占いだから気にしなくていいですよ」という言葉を付け加えることにしています。
私のこうした考え方を聞いて最後までフル活用してくださった方がいらっしゃいました。その方は末期がんで余命半年と言われていました。毎月私の所にいらしては「これから1カ月の気をつけなければいけないこと」を毎回聞いていかれました。5カ月目に「私はあと1カ月と宣告されているけれどあと何日生きられるでしょうね」と質問されました。私は基本的に死期や寿命については見ないことにしているのですが、この方の場合は余命宣告を受けてのご質問でしたので、正直にお応えしようと思いました。ところが、まるで死を表すカードが出ませんでした。そこから数カ月、毎回みましたが死を表すカードは出ません。やがて1年が過ぎたある時、ついに死を表すカードが出てしまいました。カードをみながらその方も「ついに出ちゃいましたね」と静かに言われました。そして「それでは本当にみなさんにきちんとご挨拶しておかないと」と。私もなるべく淡々と読みましたが、声が少し震えていたのは隠しようがありませんでした。
その約2週間後、その方と毎回付き添いで一緒にこられていた息子さんが訪ねてこられました。占い通り2日前に亡くなったこと、非常に穏やかな最期だったこと、そして最後に毎月占ってもらったおかげで、最後の時を有意義に過ごせたことのお礼を頂きました。そしてこのように毎月占いで確認するということが時には非常に役立つことを伝えるために私の例を使ってください、というお言づけまで頂きました。この方がいらっしゃったからこそ、冒頭の2つのことを自信持って多くの方々にお話できるようになったのです。
その後、告別式に参列させていただき「今までありがとうございました」と話しかけさせていただきました。